就活本だけ?大学生のうちに読みたい1冊 どんな時代でも「食える」人になる方法

6月、いよいよどの会社も面接解禁ですね。既に就職内定をもらった学生もいるのではないでしょうか。また、なかには、就職活動という枠組みではなく、別の道を選んだ学生もいるかもしれませんね。どちらにせよ、いつかは学生生活にピリオドをうち、社会にでることとなります。

せっかく社会に出るならば、どんな場所からも必要とされ、活躍できる人材になりたいものですよね。 今回は、そんな鼻息の荒い学生に向けて、誰もが欲しがる人材になる方法を伝授できればと思います。

「これまでは一流企業に入って出世をめざす『権力(サラリーマン)志向』の人が大半でしたが、いまは組織の中での『権力』ではなく、どこでも通用する力を身につけようとする『プロ(独立)志向』の人も増えています」と語るのは、リクルートの営業として活躍した後に、杉並区の中学校で校長としても活躍された藤原和博さんです。

藤原さんは、自著『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』で、上記のように語っており、プロ志向の人のためにさまざまなアドバイスを行っています。そもそも書籍タイトルもなかなか刺激的。1%の人材になることが、今後、生き残っていくために大切なこと。つまり、100人に1人の人材です。大学生の皆さんでしたら、やや大きめのホールで受ける授業の受講生の数ほどでしょうか。
あなたは、そんな100人の学生のなかの「1%の人材」になれますか?
「自分よりも優秀な学生はたくさんいる、そんなの到底ムリ!」なんて思っている皆さん、少し待ってください。いますぐ、100人に1人になる必要なんてないのです。将来的にそのポジションを取ることができればいいのです。

それでは具体的にどうすればいいのか。藤原さんの考えをご紹介します。

【書籍紹介】

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法(東洋経済新報社)

著者:藤原 和博

調査の設計から、文献・資料の扱い方、聞き取りの方法、データの整理、発表や執筆まで、練習問題を交えながら、調査を意義あるものにする手順とコツを詳しく解説している。学生の論文執筆や小中高の探求学習にも活用できる入門書。

「100人に1人の人材」になるための方法

まずは、自分が身に付けたいスキルや技術について、専門的に学びます。内定をもらった学生は、就職する会社の分野を専門的に学べばいいですし、また、それ以外の道を選んだ人はすでに専門分野が明るくなっているかもしれませんね。

そして、その専門分野に関して、1万時間をかけてトレーニングを続けてください。この1万時間という数字が非常に重要となります。というのも、皆さんのよく知る成功者や有名人の多くは、もともと素質があって成功したのではなく、ここに多くの時間を捧げることで、そのポジションを獲得できたのです。

「世界中の成功者や天才と呼ばれる人たちは、世間一般で言われているような、生れながらの素質や才能によるというよりも、どんな時代に生まれ、どんな練習環境があったか、どんな人と一緒にチームを組んで切磋琢磨したかで決定する」と同書でも紹介されています。

そして、そのために必要となるのが、1万時間以上の練習なのです。これは、マルコム・グラッドウェル*さんの『天才! 成功する人々の法則』(勝間和代訳:講談社)でも書かれている内容です。

*ニューヨーク在住、世界で200万部を超える大ベストセラーを連発し、世界でもっとも人気のあるビジネス書著者の一人。主な著書に、『ティッピング・ポイント』など。

成功者の多くが、この1万時間もの練習時間を大切にしていたのです。ビートルズの下積み時代は、1日8時間以上のライブを1200回も続けました。時間にして約9600時間。そして、ビル・ゲイツもまた、プログラミングに1万時間以上も費やしたと言われています。

皆さんの知る、ミュージシャンやスポーツ選手らもこれに当てはまるのではないでしょうか。

さて、これは皆さんにとって大きな勇気を与えます。というのも多くの専門家が、先天的に専門家であったのではなく、努力と時間によって専門家となったという点です。この「1万時間」を意識して取り組むことで、あなたにはプロの道が開かれるのです。

この1万時間を長いと思うか、短いと思うかは、皆さんの捉え方次第。でも、会社に勤める皆さんが、1日8時間きっちりと学べば、200日の出社日だとすると、約6年でこれに到達するのです。いかがでしょう。土日も含めると、これが3年半となります。少しプロへの道が近づいたのではないでしょうか。そんなに急がないという人でも、平日3時間を費やすと、16年半でその域に達するのです。会社に入って、専門分野をしっかり学び続けることで、あなたは専門的な知識や経験を得ることができるのです。

就職活動 本

実際に藤原さんは、22歳から37歳までの15年間、営業とプレゼンの毎日を過ごしました。それぞれ2分野に費やした時間は1万時間以上。その間、藤原さんは普通の営業マンから始まり、最終的には本部長(東京営業統括部長)にまでなりました。ご本人も「営業という仕事を特に希望したわけではありませんが、プロレベルになれたと思います」と同書で語っています。

さて、この1万時間を費やすことで、あなたは、ビートルズやビル・ゲイツに肩を並べられたのか。ちょっと物足りない気がしますよね。その通りです。彼らのような天才に近づくためには、あと、数倍の努力が必要となります。では、それにはどうすべきか。

 

「100人に1人の人材」になった後にすべきこと

何かのプロになったあなたは、「100人に1人の人材」になれてはいますが、これを「10,000人に1人」、そして、「1,000,000人に1人」と言われるほどにならなければいけません。

就職活動 本

そのためには、今度は「別の分野」でプロになるのです。なぜ、別の分野を攻めるべきなのか。それは、同分野にはすでに先駆者がおり、それらの序列を覆すには、数十年もかかってしまうからです。1万時間をかけてプロになることは可能ですが、それ以上に、同分野でポジションを取るにはそう簡単ではありません。

そんな時の考え方が、分野の掛け合わせという発想です。

100人に1人というプロの分野を2つ持つことができれば、100×100で10,000人に1人の人材になることができます。これが3つになると、100×100×100で1,000,000人に1人の専門家になれます。少し、ビートルズやビル・ゲイツに近づいた気がしませんか。

藤原さんも47歳から52歳の5年間は教育の道に進みました。1日10時間以上も、杉並区和田中学校の校長先生として、教育について考えました。これも1万時間以上を費やしています。

つまり、藤原さんは「営業」「プレゼン」「教育」という3分野それぞれで、100人に1人の人材になっています。掛け合わせると「1,000,000人に1人」という、とてもレアな人材となっているのです。そうなると、なかなかライバルは現れません。この3分野で語れる人が、圧倒的に少ないからです。

「1万時間をかけてプロになる」、そして「プロになった後に、複数分野でプロになる」というアイデア。専門分野でポジションを取りたいと思っている「プロ(独立)志向」の人にとって、ひとつの分かりやすい考え方となりそうですね。これからキャリアをスタートさせる皆さんにおいても、中長期的な視点として持っておくと良いのではないでしょうか。

皆さんのこれからの活躍を楽しみにしています。

 

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